2010年12月22日

「オウンド・ソーシャルメディア」という考え方

今年よく使われたマーケティング用語の1つに「トリプルメディア」というものがありました。

・ペイドメディア(Paid Media):「買う」メディア=いわゆる「媒体」
・オウンドメディア(Owned Media):「所有する」メディア=自社サイト(のメディア化/コミュニティ化)、顧客・会員など
・ソーシャルメディア(Social Media)※:ブログやtwitter,Facebookなど

※ここではSocial Mediaを「媒体」に近い意味で捉えていますが、自分の考えるSocial Mediaの定義は以下のようなものです。

それでは「ソーシャルメディア」における「メディア」は、上記のどちらにあたるでしょうか。そう、「コミュニケーションの媒介手段」の方なんです。決して「情報媒体」ではない。もっと言うと、「情報媒体」であるためには、(これも「メディア論」的になってきますが)幾つかの一定の機能を持たなければならない。例えば「A:速報性や独自性があり、一個人では入手できない情報を発信できること」、「B:世論を代表していること」、「C:権威ある正しい情報であること」など(これはまだ私見の段階なので、これから情報を集めていこうと思います)がそれにあたると思います。

【関連記事】
ソーシャルメディアに対する「誤解」とは(1)
ソーシャルメディアに対する「誤解」とは(2)



ここ最近、自分がWOMJという組織に所属しソーシャルメディアマーケティングに関する情報を集めていたり、現業でその領域の担当をしているからか、社内や社外でよく「ソーシャルメディアを使いたいんだけど、アドバイスが欲しい」と相談されるようになりました。ただ残念ながら、その最初の段階での動機は、「十分な広告コストがない」「話題喚起性がある(からクチコミが起こるはず)」「新しい試みをしたい」といったような、上記の自分の定義における「媒体」という側面でソーシャルメディアを捉えた場合の相談が多いなぁ、とまだ感じています。

そういった際、ご相談下さった方に必ず聞くようにしているのは、

「ソーシャルメディア」とは、「(主にオンラインの)ソーシャルメディアツール(≒CGM:Consumer Generated Media)を使っている人(や集団、“場”)」だけとは限らないでのでは??

という事です。


例えば、その商品やサービスが何かしらの会員制度を持っていて、その中に一定比率の「お得意様」がいる。もしくは「リアルで行っているサービス(各種のLiveやイベントなど)などで一定の集客ができている」とします。これらの人は、冒頭の「トリプルメディア」でいうと、「オウンドメディア」になります。

自分はここに「灯台下暗し」があると思っています。「コミュニケーションの媒介手段」としての意味でソーシャルメディアを考えた場合、その「メディア(=個人や集団、“場”)」が与えてくれるものは、
・商品やサービスに対する不満/改善要望/お褒めなどの意見
・商品やサービス利用者同士の意見交換(この場合は比較サイトなど第3者サイト上で行われますが)
・商品やサービスの(人間の自然な営みとしての)、日常生活やネット上でのクチコミ

だと思います。



さて。もうお気づきと思います。これって「ソーシャルメディアがもたらしてくれる恩恵」として、色々な所で書かれ、論じられている内容と同じなんです。

ではどうするか。答えは至ってシンプルです。まずは自分たちの顧客やメルマガ会員など(オウンドメディア)に対し、商品・サービスに関するアンケート調査を行い、その結果を商品・サービス開発にフィードバックしたり、場合によってはサイト上やニュースリリースなどで公に開示する※。もしくは彼らの顧客満足度を高める努力をする(会員インセンティブを与える、といった話に限らず、まずはお客様サポート体制を改善するなど)。
【※参考】
・お客さまのご意見に対する取り組み(ライフネット生命)
・トルノスお客様の声(トルノス)


つまり、「トリプルメディア」論における「オウンドメディア」の中には、(コミュニケーションの媒介手段)として捉えた場合の「ソーシャルメディア」を多分に内包しているんです。



よく「ソーシャルメディアは“魔法の杖”ではない」と言われます。これは全くその通りだと思います。特に「十分なマーケティング(広告)費用が無いから・・」といって「無料で使える」「自社商品・サービスの外にある」ソーシャルメディアによるマーケティングを検討されている方は、まず既に皆さんのもとに集まっている「オウンド・ソーシャルメディア」たる方々(お客様)との関係性の構築・強化から取り組んでみることをお勧めします。

加えて・・この場合のコミュニケーションの対象は「自社のお客様」なので、仮にクレームを頂いたとしても、それは「良いお客様」であり、外の世界のソーシャルメディアに踏み込んでいく際にどうしてもテイクしなければならない、万が一の“炎上リスク”とは大きく異なります。


※もちろんこの論は商品・サービスによっては当てはまらないかもしれません。ただ今年を通じて自分が一番強く感じたのがこの考え方であり、ひいてはこれは「お客様の声を聞く」という、極めてプリミティブな商いの基本にも通じる話だったりもするので、今年のまとめの1つとして、また今後の自身の検証課題の1つとして、ポストしておきます。





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