2010年08月27日

カンヌチタニウム部門(グランプリ)のケーススタディをお題に考える

昨日の東芝さんの事例に関する記事は、タカヒロさんご本人がtweetして下さったおかげで自分でもびっくりのアクセス数となりました。。(タカヒロさんありがとうございます)

さて今日も実際のケースに関する議論と考察を。いま自分が会員として所属しているWOMJでは、公になっているガイドライン策定プロジェクトや事例共有セミナー以外にも、有志の理事・会員が集まって事例研究も行っています。

以下は先日行ったケーススタディで、お題はカンヌでチタニウム部門のグランプリを取ったBESTBUY「TWELPFORCE」キャンペーン。集まったメンバーがお題のケースに対して「肯定派」「否定派」に分かれ、1時間ほど各チームでそれぞれの視点から議論したあとにディベート。このディベートを通じて、多くの気づきが生まれるんです。

* * *

さて。実際の議論メモは最後に付けますが、このケーススタディの進め方が面白いのは、肯定派と否定派の意見を集約することで、ケースの成果や課題が浮き彫りになり、参加者誰もが「視野(視点)」が広がり、個々人が今後行っていくであろう今後の企画が間違いなく網羅的になっていくという事なんです。

また、WOMJ会員は広告代理店(総合/ネット専業)だけでなく、自分のような事業会社側の様々な職種の人間、ネット事業者、学術会員といったメンバーが顔を並べているので、本当に色々な意見が出る。今回でいえば、自分の同僚のCRM担当者がCSの立場で発言していた内容が、よくネット上で見うける「広告批評(議論)」とは全く違った議論のきっかけ作りをしていたのが印象的でした(詳しくはメモ部分参照)

そう考えると、(これは全くの私見ですが)一言に「WOMJ(WOMマーケティング協議会)」と言っても、

▼WOMのマネジメント:
WOMのガイドラインを考えるプロジェクトそのものもそうですが、今回の議論でもWOM(ここではその定義については深く述べず、広義のものとします)をどう管理していくか=マネジメントの視点(組織論含む)だったりもする。

▼そもそものマーケティング議論:
広告やPRといった「コミュニケーション」も、はたまた商品開発すらも、もしかしたら「そもそも性質的にWOMを起こすもの」ではないかと自分は思っています。これは「伝播(拡散)」に限らず、家庭内や友人同士の会話で終わってもいい。とにかく、自分が気になり、それを「話題」として誰かに話す。それだけでもWOMは成立している。

すると、議論は自ずと「どうWOM(クチコミ)を誘発するか」といった議論ではなく、商品やサービス、ブランド、(今回でいえば)顧客対応を「どうやって生活者に伝え、気持ちを動かすか」という、非常にプリミティブな「コミュニケーションの目的」に帰結してくる。当然、次の段階として、それはもはや「=マーケティング(マーケティングのプロセス全て)」がカバー範囲になってくるのではないかと思うんです。なので、実は単に「マーケティング協議会」だという側面もあるかもしれない。



* * *

と、これだけ書いても何の事やら、と思われるかもしれませんので、実際に議論された内容を以下に公開します。こんな風に様々な視点から、実際のケースの
・オリエン内容
・求められた効果
・効果分析
・結果、どうだったか?
などを議論しているんです。

議論は「どちらが勝ち」というまとめ方はしませんが、終わった時には、全員がなにかしらの気づきや次のアイデアを得ている。始めのうちはこうやって様々なジャンルの人が集まらないと難しいのかもしれませんが、そのうち(自分も含めて)常に世の中の事例を多角的に見る事ができるようになれば、生活者との関わり方(訴求方法)、クライアント企業へのプレゼンや社内での稟議、キャンペーンの運用、リスク管理、広報対応などについて、よりMESEな提案ができるようになるのではないでしょうか。
※なので、議論の個々の内容の是非より「視点の多様さ」という文脈で見て頂けたらと思います。


<以下、ケーススタディのメモ>


■課題:
ECの台頭(特にAmazon)に対抗。数千人のオタク店員(家電)の誰かがtwitterの質問に答える
■TWELPFORCE


15.5万人から2000人を選抜
実際に回答するスタッフを集めてCMも放映


カリスマ回答者も生まれ、店舗誘導もできた
@でエージェントを指定できる、競争原理も生まれた

【否定派】

■そもそも論
○24時間答えてなくないですか?(試しに質問してみた)
 →すみませんすこし遅れて答えてくれました。。回答してくれたWilliam a.k.a.agent1834 ありがとう ><

○「店舗に行けば教えてもらえる」がビジネスモデルでは??
(twitterと相性悪い?)

○実際のスタッフはそこまで丁寧じゃない

○USのtwitterの利用率が低い(10%)
・1,932万人(US) 988万人(JP)で考えたら日本で言えば対したフォロー数ではない??
・日本で考えたら14,000フォロワーだけ(CM打ってる)。
※最近の例では缶コーヒーのキャンペーンで13,000フォロワー

○メーカーからクレーム入らないのか??
(スタッフの個人的な意見であるため)


■企画
リアルとネットの融合はよい
CRMもよい
GPS連動しなかったのは??
サウスウエスト航空の「ラップで機内アナウンス」みたいに、カリスマの人はもっと露出したら?
店舗のスタッフのユニフォームに「follow me」とか付けてみては

■効果
実際の売り上げに繋がったのか?
ゴールが何だったのか?
- 話題になったのか?どのくらい?(before/after)
- 店舗誘導だとしたらネットと相性悪いのでは??(物理的距離で行けない)

■運用
そもそもサポートセンターでできたのでは?
そもそもそんなにヒマなの?
答えがかぶったらどうしたの?
トレーニングとかはしてるの?ザッポスみたいになし?
 →数ヶ月トレーニングあった、選抜された2000人)
いつまで続けるのか?

■副次的産物
質問を何かしらに反映できたのか??
- FAQ
- 店頭POP

■ていうか・・
「そもそもネットで分からなくて、店舗に行けば教えてくれる」じゃなきゃダメでは??
(ここで聞いてAmazonで買ってしまっては意味ない)
twitterで気軽に聞けちゃダメじゃん

■理想系
1. 技術的な質問は担当者レベル
2. 要望は「やりましょう」←経営者がみている
3. 店舗やサイトに反映→既存客のロイヤリティUP→クチコミ(地域密着)

もしくは
期間限定でtwitterで公開、「コイツらスゲー!」となってからclosedにして、
メアド回収して地域セグメントして販促しては??


【肯定派】

■オリエン内容
Bestbuyはスタッフの態度が悪い
オリエンに販売目標はないだろう

Bestbuyの弱点=イメージが悪い
→イメージ改善がゴールだったのでは??

お客さんと良い関係を築いていく
(家電は頻繁に買わないため)

■想定されるゴール
・質問数、来店者数、ブランド好感度
・雇用者の数、従業員の満足度(インターナルキャンペーン)

■twitterのトレーニング
そんなに詳しい人はいないだろう。各店舗に1人いればいい。
→離れた場所の困っている人をカバーできる

■効果
生涯顧客が増えるだろう
店舗でもECでも成功である

※今はカスタマーサービスは「どれだけお客さまの声を拾えるか」
(昔は「どれだけ処理できるか」だった)

→アンケートと違う、本当のお客さまの声
 怒っているお客さまの声ほど「愛」がある
 それをどれだけ解析できるか、会社に還元できるか

※集まった質問はWeb上にアーカイブされている。
→副次的に「初心者アルバイト」の教育にもなる?



<参考リンク>@meyumi_yさんが教えてくれました。

■ベストバイの Twitter 活用術(前編)

■ベストバイの Twitter 活用術(後編)




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