2010年08月26日

東芝のキャンペーン「20XC」は、何が「違った」のか?

8/23のローンチ以来、twitter上で話題になっているタカヒロさん企画の東芝のスペシャルコンテンツ(スペコン)「20XC」。今もtwitter上ではスペコンからの投稿や、この企画の意図やゴールを巡ってのご本人も交えた議論が続いている。

ここではその内容は割愛して、自分が関心のある「コミュニケーション」の観点で、このスペコンが従来のものとどう「違うのか」を考えてみたい。

* * *

これまでも、ユーザー投稿型で、かつ「新しい」「広がりのある」のスペコンは沢山あった。昔でいえば例えばAUDIの「問い続ける男」しかり、スラムダンクの一億冊記念サイトしかり。

前者は、投稿した内容に対してメールで回答が送られてくるという仕組みが話題になり、実際に20万件の投稿、100万PVを稼ぎ、マス広告を伴わないキャンペーンとしては異例の成功と言われた。しかしこれには他のスペコン同様、「業界関係者の間でしか盛り上がっていないのではないか?」という疑問があり、当時自分も同じ事を感じていた。

また後者は逆に、サイトを通じてユーザー同士の「繋がり」を呼び、リアルも絡めたキャンペーンにまで発展した。結果、第3回 東京インタラクティブ・アド・アワードでグランプリに輝いたのは記憶にはっきりと残っている。しかしこの例の場合は、新聞全面広告を基軸にしており、当然、相当なコストが投下されていたことが予想される。


では今回の「20XC」は何が違ったのか。それは至ってシンプルに考えると、「投稿された情報が」「(サイト外の)twitterというコミュニケーションプラットフォーム上に放り出され」「ソーシャルグラフを辿って(←ここはやや誤認かもですが)、これまでスペコンがサイト単体ではリーチしにくかった一般のネットユーザーにまで伝播した」という事ではないだろうか。


そしてその「伝播」を円滑にするために、

1.投稿(tweet)の方法や文面に工夫※がなされた
※この「工夫」については議論や解説が多いので割愛

2.クチコミで辿り着いた先が「リッチコンテンツである【ここがポイント】」ため、一般のネットユーザーも「エンターテイメント」として思わず引き込まれた(このサイトが重い、作り込み過ぎ、といった批判もあるが、これが簡素な受けサイトだったら一般のネットユーザーは中にまで引き込まれないだろう)


という事なのではないかと。そしていみじくも、これまで(マス連動でない)スペコンの場合の参加数やPVの大半を占めていたと思われる「業界関係者」が、twitterのコミュニケーションプラットフォームにおいては一般のネットユーザーへの橋渡し役となっていた。これも興味深い。


もちろん、タカヒロさん本人がローンチ直後からリアルタイムでこのキャンペーンの是非について議論をし、さながらオーケストラの指揮者のように多くのtwitterユーザー(自分もこうしてブログを書いているのだからその一人な訳だが)同士の議論を活性化させた、というような面での「twitterやスペコンの新しい使い方」はあったかもしれないが、本質はあくまで前述の部分ではないかと思う。


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また、このキャンペーンのゴールについても様々な議論がある。でも自分が思うに、今日ではある種コモディティにも近いメモリカード(海外製も含め、メーカーはどこでも良くなりつつある=価格コンシャス)市場において、ブランディングをきちんと行い、消費者の選択肢にきちんと入れ込む事という、「プロダクトありきの『広告』が旧来から持っていた役割」ただそれだけでまずは良いのではないかと思う。

そういった意味で、このキャンペーン(スペコン)は、「プロダクトの広告」の、極めてシンプルな旧来の役割を、一方で新しさや技術だけが着目されがちなtwitterというプラットフォームにのせて体現してみせた。そういう価値がある。


今日、「旧来の手法の広告は効かない」と言われているけれど、「広告」というものの本質的な狙いや目的は変わっていない訳で・・それを新しいプラットフォーム(コミュニケーションインフラ)に上手くのせることで、そういった論調にアンチテーゼを唱えているようにも見える。

このキャンペーンによって我々は、一昔前の「広告が効いた時代(そもそもそんな区分はないのだけれど)」と同じ仕組みの中に、自らの意志で取り込まれていったのではないだろうか。



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