2010年07月23日

ソーシャルメディアに対する「誤解」とは(1)

この数ヶ月、現職での業務、ネット上の情報、その他さまざまなセミナーなどで感じた広告業界における「ソーシャルメディアに対する誤解」を自分なりにまとめてみました。特に目新しい内容は無いかもしれませんが、自分なりに「概念の整理」はできたかなと思います。

※もし間違った認識や異なる見解などありましたら、ご指摘頂けたらと思います。


■はじめに
自分はこれまで、twitterやブログなどを通じ、「ソーシャルメディアは『(広告)媒体』ではない」、あくまで「生活者がCGM(ブログやSNS、twitterなど)を通じて意見を交わす『場』」にすぎない」と言い続けてきました。これは言うまでもなく多くの識者の方も同じ事を提言しています。しかし、未だに「ソーシャルメディアを使って儲ける/成功する云々」といった触れ込みが絶えません(もっとも「正しい理解・使い方※」をしているのであれば問題ないのですが・・)。
※それでは何が「正しい」のか?については後日また書きます。


では「なぜこうした『触れ込み』」が生まれてしまったのでしょうか。もちろん、広告会社が「新たな広告枠です」「お金をかけずに(クチコミを発生させて)認知度や売上を伸ばせる手法です」と売り込んでいった背景もあります。でも彼らもビジネスですから、それは当然といえば当然の営み。そこに説明義務があったかどうかはここでは論じません。

ここでは逆に、そうした提案を受けるクライアント側にこそ「正しい理解」が必要だったのではないかと思うんです。なぜなら、彼らは最終的な「お客さま=消費者(生活者」)と直接の接点を持ち、コミュニケーションを行っているのだから。


■メディア(media)の意味
そもそも英単語の「メディア(media)」には様々な意味があります。goo辞書で調べてみても、

(1)手段。方法。媒体。特に,新聞・テレビ・ラジオなどの情報媒体。
(2)情報を保存する外部記憶装置の媒体。磁気ディスク・MO ディスクなど。
(3)情報を頒布する手段。コンピューターの分野では,(2)のメディアに加え,通信回線などが利用される。

とある。ここで特に注目したいのは(1)です。(1)をもっと掘り下げると(その際には社会学における「メディア論」などが有用なのですが、その視点からの考察は次回以降に回します)、大きく2つに分けられます。それは、

(1)-1:情報がある人から別の人へ伝達される際の媒介手段(wikipediaにも同様の記述があります)
(2)-2:媒体としての「メディア」、特にマスコミ


それでは「ソーシャルメディア」における「メディア」は、上記のどちらにあたるでしょうか。そう、「コミュニケーションの媒介手段」の方なんです。決して「情報媒体」ではない。もっと言うと、「情報媒体」であるためには、(これも「メディア論」的になってきますが)幾つかの一定の機能を持たなければならない。例えば「A:速報性や独自性があり、一個人では入手できない情報を発信できること」、「B:世論を代表していること」、「C:権威ある正しい情報であること」など(これはまだ私見の段階なので、これから情報を集めていこうと思います)がそれにあたると思います。


■ソーシャルメディアの「役割(範囲)」とは
上記のA、Bについては「ソーシャルメディア」も一定の「媒体」としての価値を持っているかもしれません。Aについて言えばtwitterの速報性には特筆すべきものがありますし、Bについて言えばネット上の「集合知」の仕組みが今後もっと広い世代に浸透していけば、それこそ世論を形成する可能性もある。

ところがCについてはどうでしょうか。ご存じの通りネット上の情報は正に「玉石混交」です。でもこれは決して悪いことではなく、そもそも我々が暮らしている日常社会でも同様です(当たり前ですが)。だからこそネット社会以前には「権威ある正しい情報の発信者」としての「メディア(情報媒体)」が信用され、重要視されてきた訳です。


■課題と展望
ところが今日、「マスメディアの崩壊」→「ネット=情報媒体=(少し飛躍しますが)全て信用できる情報だという認識の広がり」といった論調が後押しした結果、そのソーシャルメディアも「情報媒体」として捉えられるようになってしまった。ここで少し脱線しますが、以前にライフネット生命出口社長とお話しをさせて頂いた際に「生活者には(ネット上の)“玉”と“石”を見分ける能力が必要だし、それが劣っている」というご意見を伺いました。

出口さんはネット上のコンテンツのような「情報」に限らず、生活、組織、企業、経済、政治など全ての分野において横断的に「過保護な『無菌状態』は良くない」「競争と自然淘汰のある社会であるべき」と説かれています。伝統のある業界No.1の生保会社に30年以上勤められた方からのアグレッシブなご意見(?)に、非常に驚いたと同時に非常に嬉しかったのを強く覚えています(だからライフネット生命を興されたのでしょう)。

* * *

さて脱線から戻ります。つまり今日のネット社会において必要なのは、

1.2つの「メディア」の違いを、特にクライアント企業が正しく理解すること
→ソーシャルメディアはあくまで「コミュニケーションの媒介手段」であり「場」である)

2.生活者には(ネット上の)“玉”と“石”を見分ける能力が必要
→これはネットマーケティングに関わる“一個人”として、出来る範囲から少しずつ啓蒙していきたいと思っています。

3.そのうえで「新たな権威」たるメディア(情報媒体)が必要?
→ これはオールドメディアのネット版や、ネットメディア(共に情報媒体)さんに頑張ってもらいたいですね。CGMよりも権威のある情報を集め、信頼を得、読者を確保することができるか。そのためには媒体者さん自らとしても、1.2.の啓蒙が必要なんじゃないか、と思っています。


(続く)



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