2010年06月11日

ブロガーイベントでの講演を終えて

5ed6ac5d.jpgブロガーイベント開催から早3週間。すっかりレポートが遅くなってしまいました。何よりまだまだ立ち上がったばかりの事業、そこまで大掛かりなことでなくとも限られたリソースで通常業務を行いながら準備を同時進行していたので、直前期は毎日ほぼ徹夜だったような。そして案の定、イベント終了後にはお客さま&スタッフの皆を送り出したあとその場に崩れ込んでいましたw(今となっては笑える話だからいいんです)

さて今回行ったのは「ネット航空券販売『業界の裏側公開』 ブロガーMTG」。前から書いているように、そもそも自分がこの業界(オンライン旅行業界)に転職したのは「海外旅行の個別手配という市場・商慣行が本当にグレーだから」「自分自身も海外個人旅行でいつも『?』という事が多いから」の2点。兼ねてより(勝手に)尊敬しているライフネット生命さんの事業方針(不透明な生保業界・商品をガラスばりにし、ネット専業の特性を活かして安価にかつ誠実に販売する、といったニュアンス)と重なるところも多く、同じような想いを持ってプレゼン資料片手に(笑)今の会社の面接を受けたのが2年前。その当時から「一般ブロガーさんの協力を得て市場を広げる」ことの大切さを訴え続け、長い時間を経てようやく第1歩を踏み出すことができました。

ここでライフネット生命の出口さん(日本生命出身の、日本の生保業界における「生き字引」たる方です)の過去の講演内容を引用すると、「生保業界は各社が自社商品をどんどん複雑にして(様々な特約など)他社との比較をしづらくし、乗り換えを防ごうとした結果、自分たちも自社商品が分からなくなり、主にお特約において保険金の未払い問題を引き起こしてしまった」「何よりもお客さまにとって、分かりやすい商品が求められている」のだそう。だから同社は「保険料率を全て公開」し「比較サイトともリンクし堂々と比較をできるように」し「そして誠実にネットマーケやセミナーを中心に広報活動を行い」市場からの期待と支持、信頼を得て雑誌の保険人気ランキングの常連となったんです。

* * *

では海外旅行のFIT(Free Individual Travel:個人手配旅行〜個人旅行とは限らず、個別に手配する旅行のこと)に目を向けて見るとどうか。イベントでも話したんですが、今日の旅行業界には「ゼロコミッション化」という言葉があります。これは、旅行会社が航空券を代理で販売しても、販売マージンを全くもらえない状態のこと。これって普通に考えたらとんでもないことで、旅行会社が自由に付加価値(サービスと、それに見合った企画料などの対価)をつけて販売できるパッケージツアーと異なり、個別手配の場合は航空券を売っても売っても利益がないんです!

その昔、航空会社は旅行会社による代理販売に頼っていた部分が多分にありました。これはマスメディアがあって、その広告枠を販売する広告代理店が存在するのに近い。ところが、Web直販の発達やマイレージによる囲い込みが進んだ結果、航空会社はもう旅行会社を必用としなくなりつつあるんです。これもまた、力のあるネット媒体が直接、クライアントからの指名で広告枠などを販売できるようになったのと構図が酷似しています。以前に少しだけ総合広告代理店のネット部門にいた身としては、どうしてもこの2者がオーバーラップしてくる。

でも、旅行業界の場合は話が更に複雑。上記のような背景で利益を得られなくなった旅行会社はどうしたか。もはや「手数料」という形で、お客さまから「サービスを継続するだけの僅かな料金」を頂くより他に手段がなくなったんです。でもこれには2つの「手数料」があって、
1.今まで「お客さまサービス(付加価値)」の一環で、お客さまには見せずにサービスしていた(人件費を伴う)手数料を頂くしかなくなった→元来は発生すべきだった手数料
2.人件費がかからないはずのオンライン販売においても発生する手数料
があるんです。

1.はまだ分かりますね。逆の視点で言うと、もしかしたらこれまでのこの業界がサービス過多だったのかもしれない。でも2.はどうでしょう。他のオンラインサービスで考えたら、ネットなのに手数料がかかるなんて納得できない話。でも各社、事業存続のために仕方がないのと、そもそも航空券手配を完全にオンライン化するのが難しいという裏事情もあります。だから、オンラインの海外個別手配業界は複雑なんです。しかも、場合により航空会社はお客さまからの問い合わせに対し、旅行会社経由で購入したものは旅行会社で対応するよう差し戻してくる場合もあり・・コミッションもなし、契約関係も(個別手配なので)「お客さまと航空会社」なのにも関わらず、です。

と、話がここで終わればまだギリギリ理解できます。ところがこの市場を更に複雑にしているのが、そう、前述の生保業界と同じ「各旅行会社独自の手数料設定や見せ方」なんです。確かに、利益確保に苦しいなか、そうした競争が起こるのは必然といえば必然。でも、お客さまの立場に立ってみたらどうでしょうか。皆さんも、海外航空券を検索していて、いつの間にか最後の購入画面で値段が上がっていたり、そもそも検索結果画面に出てきたから「空席なんだ」と思って購入手続きをしていたら同じく最後になって「満席です」と言われ、店舗に電話してくださいとか、最初からやり直してくださいとかの案内を受けた経験は無いでしょうか。自分も海外旅行はいつも個別手配なんですが、今の会社に入るまでこの落とし穴を「当たり前・海外の個別手配ってこういうもんなんだ」と思っていました。でも、それは決して良くない、正さなくてはならない。そういった思いから、今回のブロガーイベントを企画したんです。

* * *

という訳で、下のリンクにもあるように、このイベントではここまで説明してきたような「業界の裏側」を、おそらく業界で初めて(?)、(さすがにここでは書けないけど)具体例も交えながら、しかも業界のリーダー企業の看板を背負って暴露・・ではなく「正しいことをキチンとご説明」したんです。

一般に(今回お願いした会社さんの事ではないです)、ブロガーイベントというと、主にメーカーさんなどが「新商品が出たからぜひ見に来てください、そしてブログで宣伝して下さい」といった「広告色」が強いものが多い。でも今回、自分はこのイベントをそうしたくなかった。ブロガーさん=情報感度が高く、かつ今回の場合は「個別手配での海外旅行が好きであるが故に集まって」頂いた方々に、まずは「正しい情報」と「間違った情報で失敗しないように」ということをご説明したかった。実際、ご参加頂いたブロガーさんの中にも「今回はいつもとちょっと違う」と書いて下さった方もいて、自分の想いが伝わったことを嬉しく感じました。

実際、通常はブロガーイベントというと質疑応答の際にブログ名やハンドルネームで発言される方が大半なのですが、今回はなぜか皆さん実名で名乗って下さっていた。これは皆さんが「ブロガー・ブロガーイベント」という枠を超えて、海外個別手配が好きな「1個人(1旅行者)」になって下さっていた事の現れだと勝手に解釈してるんですが(笑)、これも非常に嬉しい出来事でした。

そしてイベント後半は、まだまだ発展途上の自分たちのサービスについて、「mediologic.com」のタカヒロさん、「みたいもん!」のいしたにさん、「サポティスタ!」の岡田さんという豪華アルファブロガーの方々も交えての、我がサーボスに対する改善アイデア提案会(ディスカッション)。さすが皆さんネットの専門家×旅行好きとあって、出てくるアイデアはどれもこれも目か鱗の内容でした(ここで頂いたアイデア、必ず少しづずつでも実現しなくては・・)。

* * *

閑話休題。自分がこの業界に入って強く感じたのは、旅行、特に海外旅行って、ネットでもリアルでも「困っている人」が沢山いて、そしてそれを経験ある人が皆で「助けようとしている」ということ。ネット上で言えば「教えてgoo!」や「mixi」のコミュニティなどで、日々たくさんのこうした「助け合い」が起きています。

これは講演の最後でも話したんですが、自分は(月並みだけど)インターネットの可能性はあくまでシンプルに「コミュニケーションの可能性を広げるもの」だと思っています。その文脈で考えると、海外の個別手配旅行ほどこの「可能性」と親和性が高い業界もなかなかないんじゃないかと思っています。なのに、業界全体を通じて、仕方なのない事とはいえ、グレーな情報や誤解が世の中に溢れているうちは、この市場は発展しないんです。だから自分はそれを変えていきたい、その第一歩が今回のイベントだったんです。

最後に。自分も海外にはよく行きますが、ある程度慣れて来たら(もしくは最初からでも)絶対に個別手配で行った方がいい。行く前の情報収集、自分で自由に歩き回って初めて気付くその国の文化(たとえば交通標識1つとっても、お国柄が様々です)、現地の人とのコミュニケーションetc。言葉が分からなくたっていいんです。それに「多少のトラブル(道に迷ったりとか、うっかり異文化のマナー違反をしてしまったりとか)」も必ず自分の人生にとっての良い経験になります(危ない地域の情報とかだけは知っておかないといけないけど)。

そしてこれはあくまで個人の意見ですが、旅行業界の用語である前述の「FIT」の「I」は、単なる購入手段を区別しただけの意味としての「Individual」ではなく「Interactive」なんじゃないかと思うんです。ほら「インターネット=Interactive」とここでも重なるんです。

ネットマーケティングに長年関わっている身として、自身のキャリア云々の前に、何より個別手配での海外旅行が好きな1個人として、何とかこの業界を変えていきたい。そして、世の中の人々もきっとそれを望んでいるということを心から感じることができた、そんなブロガーイベントでした。

※でもこれはまだまだ「小さな第一歩」。ここで得たものを糧に、これからどんどん前進していかなくては、なんです。

■ネット航空券販売「業界の裏側」ブロガーミーティング
・イベントレポート
・ブログ記事一覧




この記事へのトラックバックURL

http://trackback.blogsys.jp/livedoor/funkaholic/51850482